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光触媒の話

 


今回は光触媒について書いていきたいと思います。



みなさんは『光触媒』という言葉を聞いた事があるでしょうか。


設備メーカーのTOTOさんが大々的に光触媒塗料を押し出しているので、認知度は結構高いんじゃないでしょうか。
しかし『光触媒』と言われても何の事かさっぱりだ、という方がほとんどだと思うので、なるべく分かりやすく、『光触媒』の事を書いてみようと思います。


自分も光触媒に対して興味があったので「認定施工店」の資格の取得&「趣味」の為に大阪の「TOTOエクセラ」に受講しに行っています。
その時、インターネットや、電話問い合わせでは絶対教えてくれないTOTOハイドロテクトの塗料の話を聞けて、自分的にはとても楽しい講習でした。
その経験もふまえながら書いていきたいと思います。

が、

塗りかえを検討される上でお客様自身、光触媒の技術や知識はほとんど必要ないかと思いますので、これはあくまでも僕の趣味&自己満足としてとらえてもらえればと思います。


施工や金額について知りたい方がおられましたら、お近くの塗装店などに問い合わせ下さい。
ちなみに当店もハイドロテクト認定施工店なのでウチでよければお気軽にどうぞ。

もちろん塗り替えで光触媒を検討されている方は相見積もり必須の工事です。







さてさて、そろそろはじめますかね。



最近『光触媒』を使った塗料に脚光が浴びてきています。

『光触媒反応を応用した塗料』と言った方が正確でしょうか。

この光触媒塗料ですが、具体的にはどういう性質の塗料なんでしょうか。

『光触媒』という言葉だけを直訳すると「光で触媒反応を起こす物質の反応」ですが、これだけではさっぱり説明になってませんね。


『光触媒』の「光」とは紫外線の事です。
ちなみに紫外線というのは、目で見える「紫色」の「外の波長(10-380nm)」の光の波の事です。

紫外線は「可視光」である「紫色」より波の細かい外側の波長の電磁波なんですね。

『可視光』については別枠で書いていきますので今回は詳しく書かないようにします。
可視光についての事は色の話・光の話に書いてありますので、興味のある方はそちらへどうぞ。


そして『触媒』とは
「その物質自身、反応の前後で変化しないもの」あるいは「反応によって消費されても、反応の完了と同時に再生され、変化してないように見える物質」の事です。

塗料で応用されている物質は『酸化チタン(TiO2)』という金属で、この金属に紫外線を照射すると触媒反応を起こします。
「藤嶋昭」という方が発見し、その後「本多健一」という方と酸化チタンを用いた水の光分解に関する論文をネイチャー誌に発表しました。
この現象は発見者の名前を取って「本多-藤嶋効果」と呼ばれます。

この酸化チタンを水中に入れ、紫外線を照射すると、水を水素と酸素に分解します。
これを酸化還元作用といいます。
この強い「酸化還元作用」と、もう一つの特性である「超親水性」が光触媒塗料の最大の特徴といえます。



ここまで光触媒の表面上の説明をしたので、ここからは趣味の話へ続けて書いていきます。



『光触媒』の事についてインターネットで調べてもらうと分かると思うんですが、塗料の事や光触媒塗料のメリットなどは簡単に出てきても、「じゃあ酸化還元作用の起こるしくみってなんなの?」と思って調べてみると、とても理解しにくいんです。

光触媒の事を分かりやすく理解するのは凄く時間がかかると思うので、自分が咀嚼した内容でなるべく分かりやすく書いてみたいと思います。
もっと詳しく知りたい方は『光触媒』で検索してみてください。光触媒を説明したサイトが数多く出てきます。



■では、酸化チタン内では具体的にどのような反応が起こっているんでしょうか。



光触媒塗料の一番の特徴「酸化還元作用」とはなんでしょうか。

酸化チタンが紫外線に反応すると、「正孔(ホール)」と呼ばれる電子の抜け穴が出来ます。
電子が抜けた穴「正孔」が出来ると酸化チタン自体が非常に不安定な状態になります。
この抜けた電子の穴を埋めようと周りの物質から電子を奪い、結果的に周りの物質を強力に酸化させます。

この時、電子は無くなったのではなく、同じ酸化チタンの中で別の場所へ移動した状態になっています。
紫外線による反応が終われば、電子はまた元の状態に戻ります。

これが光触媒の「酸化還元作用」の酸化のしくみです。


「じゃあなんで電子は動くの?」と思った人いますか?(ちなみに僕はそうでした。)


電子が何故移動するのか理解するには「バンドギャップ」について理解しなくてはいけません。



物質の中で(ここでは酸化チタン)特定のエネルギーが加わると、「バンドギャップ」という所を飛び越えて、電子が別の場所に移動します。
この「バントギャップ」を飛び越えるエネルギーの事を「バンドギャップエネルギー」といいます。
酸化チタンがバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を吸収すると、「価伝導帯→バンドギャップを飛び越えて→伝導体」へ移動します。

すると今まで電子がいたスペースが空席になり、その空いたスペースを埋めようと、酸化チタンが非常に不安定な状態になります。
この状態が「正孔(ホール)」が出来た状態です。

しかし、反応が起こってもただ電子の場所が移動しただけなので、反応が終わると電子は再び元の位置に戻り、反応前と同じ状態に戻ります。
酸化チタンは電子と正孔の寿命が長いので、大きな分解力が得られると考えられています。



そして、光触媒のもう一つの特徴は「超親水性」です。


酸化チタンに光が当たるとその表面が超親水性になります。
この時、光触媒塗料は非常に水と馴染みやすく、油性の汚れが非常につきにくくなります。
また、超親水性のおかげで表面に付いた汚れを雨と一緒に洗い流す事が出来ます。
これを「セルフクリーニング作用」といいます。


この超親水性が光触媒塗料では非常に大事な作用です。
「酸化還元作用」と「超親水性」の組み合わせにより、超低汚染の大きな効果を生み出しています。



しかし、ここで疑問が出てきます。


光触媒塗料は光や雨の力で汚れを落としますが
外壁の北面や軒裏の近くの様に光や雨が当たらない場所は光触媒の効果は全くないのか。という疑問です。

TOTOハイドロテクトの講習を受けに行った時、メーカーの方に聞いて分かったんですが、光触媒塗料の塗膜表面は常に水分を引き寄せた状態にあります。
なぜ酸化チタンが水分を引き寄せるかは詳しくは分かっていないようですが、水分を引き寄せる事で、静電気を抑制し、埃が付きにくく、常に汚れにくい状態にあります。

外壁の北面や軒裏の近くの様に光や雨が当たらない場所で、酸化還元作用と超親水性の効果はほとんどありませんが、塗膜表面に水分を引き寄せる事により他の塗料より汚れが付着しにくい様です。



ここまで光触媒塗料のメリットは書いてきましたが、光触媒塗料のデメリットや、TOTOハイドロテクトの特性について書いてみます。


万能に見える光触媒塗料も弱点はあります。

酸化チタンの力を効率良く発揮するには塗料の中の酸化チタンに紫外線が十分に当たる事が必要で、TOTOハイドロテクトでは有色塗料を塗装して、最後に酸化チタンを混ぜたクリアー塗装を施工します。

ここで心配になってくるのは「自らの酸化還元作用で自らの塗膜を痛める事」です。
酸化チタンの分解力は120Kcal/molで、この作用は周りの物質全てに及びます。

この分解力は非常に強く、通常の有色塗料の上に光触媒のクリアーを施工した場合、下の塗料を「酸化還元作用」で分解し、白色化させてしまいます。
塗料では色を付ける為に『顔料』と呼ばれる色の粉を用いています。
『顔料』にも「有機顔料」と「無機顔料」があり、TOTOのハイドロテクトでは「ほぼ無機に近い顔料」と「光触媒に耐える樹脂」を用いています。

「ほぼ無機に近い顔料」なんて、あいまいな表現で申し訳ないんですが、「有機」と「無機」を説明しだすと光触媒についての話が終わらなくなるので、別枠で「顔料」「有機」「無機」の事は書いています。興味のある方は塗料の中の話をご覧ください。

そして、トップコートのクリアー塗料は、酸化還元作用に耐える樹脂(ケイ素(Si))を用いてを作っています。
塗布量は極めて少ないものの、かなり高価な塗料です。


しかし、いくらそういう樹脂や顔料を用いても少しずつは塗膜に影響を及ぼしてしまいます。

この為にTOTOのハイドロテクトは「酸化還元作用」を極力抑え、「塗膜表面に水分を引き寄せる作用」と、「超親水性」によるセルフクリーニング作用に重きをおいて超低汚染塗料にしています。

しかし、一般に光触媒=酸化還元作用の認識が強いので、酸化還元作用をセールスポイントとして全面に押し出していますね。



そして、もう一つの弱点は「シーリングの上には基本的に施工不可」だという事です。


TOTOハイドロテクトの講習を受けて分かったんですが、中塗りの有色塗料には酸化還元作用に耐えうる様に顔料の割合を多くしています。
その事で、シーリングの上など大きく収縮する部分では塗膜が収縮についていけず、破断します。

過去にはシーリングの上にも塗装する工法があった様ですが、今は削除されています。
シーリング上の塗膜が破断するクレームが多く出た為じゃないでしょうか。

しかし、メーカーの10年保証がついてある塗料なのに、シーリングの上に塗装すると保証外っていうのは痛い・・・
ワーキングジョイント以外にはブリードオフプライマーを塗って施工すれば大丈夫でしょうけど、施工する側からすると・・・少し怖いですね。


・TOTOハイドロテクトの防汚性能

TOTOハイドロテクトの防汚性能は非常に高いんですが、集中的に汚れが集まる箇所では、笠木や水振りを取り付ける対策を取るなど、汚染防止の根本的対策が必要です。

平たく言うと、いくら防汚性能が高いTOTOハイドロテクトでも、雨染みなどの汚れは発生しますよ。という事です。
他の低汚染塗料でも汚染への根本的対策が必要なのは同じ事なので、特に問題じゃないとは思いますけどね。
絶対に汚れない塗料はないって事です。


あと、施工単価が高い事がネックですかね。

TOTOハイドロテクトは材料が高価な事と、通常の塗り替えより施工に人工費がかかるので金額が割高になります。
施工以外にも、講習の受講や10年保証の為に写真や書類の申請があったりと、目に見えない部分にも金額が上がる要因があります。


金額と品質のバランスでいくと、ちょっと割高かな?と、自分は思います。


しかし、他の塗料に比べ綺麗な期間が長持ちする事と、TOTOハイドロテクトで塗りかえを行った事で得られる満足感は大きいと思います。
それをふまえて、塗りかえの際、光触媒塗料を検討されてはどうでしょうか。



最後はTOTOハイドロテクトの話になってしまいましたが、これで光触媒の話は終わりにします。

ありがとうございました。



後日談もあります。


興味のある方はどうぞ(^-^)

TOTOハイドロテクトの話



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